説明
BAL Cath*は、カテーテル内にあるカテーテルです。12 Frの内側カテーテル(図1a)は16 Frの外側シース(図1b)
に覆われています。内側カテーテルには、外側カテーテルの外周を覆って保護しているキノコ状の先端部
(図1c)があります。このデザインによって、上部気道の微生物への暴露を抑えつつ、内側カテーテルを遠位
の気管支部位へと進めることができます。キノコ状の先端部はX線不透過性なので、カテーテルの位置をX線
で確認できます。挿管していない患者にこの装置を使う場合、低流量酸素を供給するポート(図1d)があります。
栓の口径が大きいので、吸引装置および標本トラップへの接続ができます(図1e)。
米国では、連邦法によってこの装置の販売は医師の指示あるいは医師自身に限られています。
適応
BAL Cath*は、気管支肺胞洗浄(BAL)標本を肺の内深部から採取できるので、びまん性肺疾患の診断に使われます
(図2参照)。気管支鏡は必要ありません。このカテーテルは、挿管の有無を問わず成人患者に使うことができます。
禁忌
BAL(気管支肺胞洗浄)には絶対禁忌はありません。この処置の相対禁忌には、次の状態が含まれます。
1.
患者の協力が得られない場合
2.
努力性肺活量(FVC)が1リットル未満の場合
3.
中程度の気道閉塞がある喘息の場合
4.
高炭酸ガス症
5.
低酸素血症で、90%を超える飽和度に修正できない場合
6.
重度の不整脈
7.
過去6年間に心筋梗塞が起こった場合
8.
出血しやすく、是正されていない場合
9.
血行力学的に不安定な場合
10. 原因不明の喀血
警告
気管支鏡を使用しない気管支肺胞洗浄では、気管支鏡使用の気管支肺胞洗浄(BAL)法で見られる合併症に似たものを
引き起こすことがあり、これには、気胸症、肺臓炎、気管支痙攣および出血が含まれます。
本医療機器を再使用/再処理/再滅菌しないでください。こういった操作を行うと、1)本機器の既知の生体適合性に
悪影響を及ぼしたり、2)本機器の構造的完全性が低下したり、3)本機器が使用目的とは違った方法で動作すること
になったり、または4)汚染リスクの原因となり、かつ患者の損傷、病気あるいは死亡の原因となる感染病の伝播を
引き起こしたりする場合があります。
警告
本医療機器には、動物実験から得られたデータに基づいて推定されるヒトの生殖毒性として現在欧州連合(EU)で分
類されている、DEHP(フタル酸ジエチルヘキシル)が含まれています。医療機器に含有されているDEHPへの暴露がヒ
トに対して有害な影響の原因になるという、決定的な科学的証拠は一切ありません。潜在的に高リスクである患者
集団を含む、適応した患者集団すべてのDEHPへの暴露を考慮に入れたリスクアセスメントが本機器に対して実施さ
れましたが、本機器を指示通りに使用した場合安全であるという結論が出ています。
挿管していない成人患者
1.
経鼻的気管支鏡検査で使う標準の麻酔プロトコルに従って、上部気道を準備します。
2.
カテーテル先端部が咽頭の正中線に見えるところまで、BAL Cath*を鼻腔に通します。方向指示用先端部は、
必ず正中矢状面上にあるようにしてください。
3.
頭はどこにも傾かない姿勢にしておきます。あるいは、顎を胸にわずかに近づけた状態にしておきます。
4.
患者にはゆっくりと深呼吸をしてもらい、その吸気の間にカテーテルを進めます。
5.
方向指示用先端部の湾曲部は、酸素ポートおよび印刷された番号と同じ面にあります。方向指示用先端部を中
に入れるために、酸素ポートを目的の肺の方向に右あるいは左へと回します。
6.
カテーテル先端部が声帯を15 cmほど過ぎた部位に来るまで、BAL Cath*を進ませていきます。
7.
2 mlの生理食塩水を注入して、先端部を洗浄します。呼吸につれてカテーテル内の液体が上下するかをチェッ
クして、気道における配置を確認します。
8.
最高5リットル/分の低流量酸素を、酸素ラインから酸素ポート(図1d)まで投与する場合もあります。カテーテル
が気管内に収まっているかを確認するまで、酸素の投与を開始しないでください。
使用上の注意
処置前および処置中の最高5リットル/分までの低流量酸素は、望ましいことがあります。酸素の投与は、処置前
には鼻カニュ―レから、処置中にはBAL CAth*酸素ポートから行ってください。パルスオキシメーターを必ず使っ
て、酸素の飽和度を監視してください。適切な監視および心肺蘇生装置は、いつでもすぐ使えるようにしてくだい。
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