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本書では、 製品の正しい使用方法を説明しています。 技術や使用方法については、 い
くつかの例のみを掲載しています。
製品の使用に関連する危険については、 警告のマークが付いています。 ただし、 製品
の使用に関連する危険の全てをここに網羅することはできません。 最新の情報や、 そ
の他の補足情報等は Petzl.com で参照できますので、 定期的に確認してください。
警告および注意事項に留意し、 製品を正しく使用する事は、 ユーザーの責任です。 本
製品の誤った使用は危険を増加させます。 疑問点や不明な点は (株) アルテリア (TEL
04-2968-3733) にご相談ください。
1.用途
本製品は墜落からの保護を目的として使用する個人保護用具 (PPE) です。
フォールアレストおよびワークポジショニング兼用フルボディハーネスです。
本製品の限界を超えるような使用をしないでください。 また、 本来の用途以外での使
用はしないでください。
責任
警告
この製品を使用する活動には危険が伴います。
ユーザー各自が自身の行為、 判断、 および安全の確保についてそ
の責任を負うこ と と します。
使用する前に必ず:
- 取扱説明書をよく読み、 理解してください
- この製品を正しく使用するための適切な指導を受けてください
- この製品の機能とその限界について理解してください
- この製品を使用する活動に伴う危険について理解してください
これらの注意事項を無視または軽視すると、 重度の傷害や死につ
ながる場合があります。
この製品は使用方法を熟知していて責任能力のある人、 あるいはそれらの人から目
の届く範囲で直接指導を受けられる人のみ使用してください。
ユーザー各自が自身の行為、 判断、 および安全の確保について責任を負い、 またそれ
によって生じる結果についても責任を負うこととします。 各自で責任がとれない場合
や、 その立場にない場合、 また取扱説明書の内容を理解できない場合は、 この製品を
使用しないでください。
2.各部の名称
(1) A/2 胸部アタッチメントポイント、 (2) 巻取り式フォールアレスター用背部アタッ
チメントポイント、 (3) 背部アタッチメントポイント、 (4) 後部アタッチメントポイン
ト、 (5) 側部アタッチメントポイント、 (6) ショルダーストラップ、 (7) レッグループ、 (8)
レッグループストラップ用 FAST LT PLUS オートマチックバックル、 (9) 胸部ストラッ
プ用 FAST LT オートマチックバックル、 (10) ウェストベルト用 FAST LT オートマチッ
クバックル、 (11) ウェストベルト用 DOUBLEBACK バックル、 (12) 背部ストラップ用
DOUBLEBACK バックル、 (13) ショルダーストラップ用 DOUBLEBACK バックル、 (14) レ
ッグループ高さ調節用 DOUBLEBACK バックル、 (15) 伸縮性リテイナー、 (16) プラステ
ィ ックリテイナー、 (17) ギアループ、 (18) フォールアレスト用ランヤードのコネクター
ホルダー、 (19) シート取付用スロッ ト、 (20) マジックテープ式 ASAP'SORBER 用リテイ
ナー、 (21) フォールインジケーター
主な素材
ストラップ: ポリエステル
FAST LT バックル、 FAST LT PLUS バックル、 DOUBLEBACK バックル: スチール、 アル
ミニウム合金
背部アタッチメントポイント: アルミニウム合金
3.点検のポイン ト
器具の状態は、 ユーザーの安全に大きく関係します。
ペツルは、 十分な知識を持つ適任者による詳細点検を、 少なく とも 12 ヶ月ごとに行
うことをお勧めします (国や地域における法規や、 使用状態によっても変わります)。
警告: 使用頻度によっては、 より頻繁に個人保護用具 (PPE) を点検する必要がありま
す。 Petzl.com で説明されている方法に従って点検してください。 個人保護用具 (PPE)
の点検結果を点検フォームに記録してください: 種類、 モデル、 製造者の連絡先、 個別
番号、 製造日、 購入日、 初回使用時の日付、 次回点検予定日、 問題点、 コメント、 点検者
の名前および署名。
毎回、 使用前に
ウェビングのアタッチメントポイント部分、 調節バックル部分、 および縫製部分を点
検してください。
使用による切れ目や磨耗、 熱や化学物質等による損傷がないことを確認してくださ
い。 縫製部分が切れたりゆるんだり していないことを特に注意して確認してください。
FAST LT バックルおよびFAST LT PLUS バックルが正常に機能することを確認してくだ
さい。 フォールインジケーターを点検してください。 フォールアレスト用アタッチメント
ポイントに 400 daN を超える衝撃荷重がかかると、 赤いフォールインジケーターが現
れます。 フォールインジケーターが見えているハーネスは、 廃棄してください。
使用中の注意点
調節バックルがしっかりと締められていることを常に確認してください。 この製品およ
び併用する器具 (連結している場合は連結部を含む) に常に注意を払い、 状態を確認
してください。 全ての構成器具が正しくセッ トされていることを確認してください。
4.適合性
この製品がシステムの中のその他の器具と併用できることを確認してください (併用
できる = 相互の機能を妨げない)。
5.ハーネスの装着および調節方法
- 余分なストラップは必ず折って平らにした状態でリテイナーにしまってください
- FAST LT および FAST LT PLUS バックルの機能を妨げる可能性があるため、 小石、
砂、 衣服等が挟まらないように注意してください。 しっかりとロックしていることを確
認してください。
調節の確認
墜落の際に怪我をする危険を低減するため、 ハーネスは体にぴったりとフィッ トする
よう調節してください。
ハーネスが正しく フィッ トし、 使用目的に見合う快適性が得られることを必ず確認して
ください。 ハーネスを装着した状態で動いたり、 装備を全て装着した状態で各アタッ
チメントポイントから吊り下がり、 適切に調節されていることを確認してください。
保護機能を発揮するためには、 ユーザーのウエストに適切にフィ ッ トするようハーネ
スを調節しなければなりません。
調節および機能の確認方法については、 図を参照してください。
適切にフィ ッ トさせることができない場合、 この製品は使用しないでください。 他のモ
デルや違うサイズのものを選択してください。
6.フ ォールアレス ト用ハーネス
6A.胸部アタッチメントポイント
6B.背部アタッチメントポイント
6C.巻取り式フォールアレスター用繊維製背部アタッチメン トポ
イン ト
巻取り式フォールアレストシステムのみに接続可能なアタッチメントポイントです。 製
造者によるシステムの使用についての推奨事項を守ってください。
モバイルフォールアレスターやエネルギーアブソーバー等のフォールアレストシステ
ムに接続することができるのは、 このアタッチメントポイントのみです。 区別しやすく
するため、 これらのアタッチメントポイントには 「A」 の文字が刻印されています。 胸部
アタッチメントポイントは、 「 A/2」 で識別される2つのループで構成されています。 2
つのループを常に共に使用してください。
ク リアランス: ユーザーの下の障害物のない空間
墜落した際に途中で障害物に接触することを回避するため、 ユーザーの下には必ず
十分なクリアランスを確保してください。
墜落を止める際、 アタッチメントポイントは伸長します。 クリアランスを計算する時は、
この伸び (最大約 0.5 m) を考慮する必要があります。 墜落距離に関係するコネクター
の長さも考慮して、 必要なクリアランスを計算してください。
必要なクリアランスを算出する方法は、 フォールアレストシステムを構成するその他
の器具 (エネルギーアブソーバー、 モバイルフォールアレスター等) の取扱説明書に
記載されています。
TECHNICAL NOTICE VOLT - VOLT WIND VERSION INTERNATIONALE
7.ワークポジシ ョニング用ハーネス
ワークポジショニング用のアタッチメントポイントは、 フォールアレストの目的で使
用できません。 これらのアタッチメントポイントは、 吊り下がった状態で体を支えて
作業位置で安定した体勢をとる (ワークポジショニング)、 または墜落の可能性があ
る場所にユーザーが侵入できないよう行動範囲を制限する (レストレイン) ために
使用します。
ランヤードは常にたるみのない状態を維持してください。
7A.側部アタッチメン トポイン ト
ウェストベルトの快適なサポート性を得るため、 必ず両側部のアタッチメントポイント
をポジショニング用ランヤードで連結して使用してください (U字吊り)。
7B.VOLT 用 シートのアタッチメン トポイン ト
シートの快適なサポート性を得るため、 必ずシート両側部のアタッチメントポイント
をワークポジショニング用ランヤードに連結して使用してください。 警告. シートはハ
ーネス VOLT WIND とは併用できません。
8.レス ト レインおよびレスキュー
胸部、 背部およびレストレイン用アタッチメントポイントは、 墜落の可能性がある場
所にユーザーが侵入できないよう行動範囲を制限する (レストレイン) ために使用
可能です。
胸部または金属製背部アタッチメントは、 レスキューに使用可能です。
9.フ ォールアレス ト用ランヤードのコネクターホルダー
A. ランヤード先端のコネクターをクリップする以外の用途で使用しないでください。
B. このコネクターホルダーにダブルランヤードの片方のコネクターをクリップした状
態で墜落をしても、 エネルギーアブソーバーの伸長を妨げません。 警告: このアタッチ
メントポイントは、 フォールアレスト用アタッチメントポイントではありません。
10.ギアループ
ギアループは用具を携行/整理する目的でのみ使用してください。
警告、 危険: ギアループは、 ビレイ、 懸垂下降、 ロープの連結、 自己確保には絶対に使
用しないでください。
11.ANSI 規格に基づく 補足情報
- 取扱説明書は、 製品と一緒にユーザーに提供されなければなりません
- 併用する全ての用具の取扱説明書をよく読み、 理解してください
- レスキュープラン: ユーザーは、 この製品の使用中に問題が生じた際にすみやかに
対処できるよう、 レスキュープランとそれに必要となる装備をあらかじめ用意してお
く必要があります
- 警告: 複数の器具を同時に使用する場合、 1つの器具の安全性が、 別の器具の使用
によって損なわれることがあります
- 警告: ハーネスは、 化学物質や熱、 腐食、 紫外線によって損傷することがあります。 器
具の状態に疑問がある場合、 (株) アルテリア (TEL: 04-2968-3733) にご相談ください。
- 電源や稼動中の機械類の近く、 表面がざらざらしている、 または尖ったものの近く で
作業する場合は十分注意してください
12.補足情報
廃棄基準:
警告: 極めて異例な状況においては、 1回の使用で損傷が生じ、 その後使用不可能に
なる場合があります (劣悪な使用環境、 海に近い環境での使用、 鋭利な角との接触、
極端な高 / 低温下での使用や保管、 化学薬品との接触等)。
以下のいずれかに該当する製品は以後使用しないでください:
- プラスチック製品または繊維製品で、 製造日から 10 年以上経過した
- 大きな墜落を止めた、 あるいは非常に大きな荷重がかかった
- 点検において使用不可と判断された。 製品の状態に疑問がある
- 完全な使用履歴が分からない
- 該当する規格や法律の変更、 新しい技術の発達、 また他の器具との併用に適さない
等の理由で、 使用には適さないと判断された
このような製品は、 以後使用されることを避けるため廃棄してください。
アイコン:
A.耐用年数: 10 年 - B.マーキング - C.使用温度 - D.使用上の注意 - E.ク リーニング/消
毒 - F.乾燥 - G.保管/持ち運び - H.メンテナンス - I.改造/修理 (パーツの交換を除き、 ペ
ツルの施設外での製品の改造および修理を禁じます) - J.問い合わせ
3年保証
原材料および製造過程における全ての欠陥に対して適用されます。 以下の場合は
保証の対象外とします: 通常の磨耗や傷、 酸化、 改造や改変、 不適切な保管方法、 メ
ンテナンスの不足、 事故または過失による損傷、 不適切または誤った使用方法によ
る故障。
警告のマーク
1.重傷または死につながるおそれがあります。 2.事故や怪我につながる危険性があり
ます。 3.製品の機能や性能に関する重要な情報です。 4. し てはいけない内容です。
トレーサビリティ とマーキング
a.この個人保護用具の製造を監査する公認機関の ID 番号 - b.認証機関 - c. ト レーサ
ビリティ: データマトリクスコード - d.サイズ - e.個別番号 - f.製造年 - g.製造月 - h.ロ
ッ ト番号 - i.個体識別番号 - j.規格 - k.取扱説明書をよく読んでください - l.モデル名 -
m.製造者住所 - n.製造日 (月 / 年)
付録 A - ANSI 規格
ANSI/ASSE Z359 規格におけるフルボディハーネスの適切な使用
およびメンテナンスについての要求事項
注意: これらは、 ANSI/ASSE Z359 規格に基づく情報および一般的要求事項です。 この
用具を製造するメーカーにより、 使用についてより厳格な規定が適用される可能性が
あります。 メーカーの取扱説明書を参照してください。
1.これらの用具を使用するユーザーは、 それぞれの作業環境において用具を安全に
使用する詳細な手順を含む適切な訓練および教育を受けている必要があります。 墜
落防止計画の管理に関する最低要件を定める ANSI/ASSE Z359.2 規格は、 雇用者に
よる墜落防止計画の管理について、 次の項目を含むガイドラインおよび要求事項を
定めています: 方針、 任務と訓練、 墜落防止の手順、 墜落の危険性の排除または管理、
レスキューの手順、 事故調査、 管理方法の有効性の評価。
2.製品を適切に使用するためには、 フルボディハーネスを正しく装着する必要があり
ます。 ユーザーは、 正しいサイズを選択し、 フルボディハーネスを常に適切に装着でき
るように教育を受けている必要があります。
3.ハーネスの適切な装着およびサイズ選択については、 メーカーの取扱説明書に従
う必要があり、 特に次の点に注意する必要があります: バックルが正しく連結されてい
ること、 レッグループおよびショルダーストラップが常に適切に調節されていること、
チェストストラップが胸部の中心にく ること、 墜落した際にレッグループが生殖器に干
渉しないように適切に調節されていること。
4.ANSI/ASSE Z359.11 規格に適合したフルボディハーネスは、 最大衝撃荷重を 1800
ポンド (8 kN) 以下に抑える個人用フォールアレストシステムを構成する他の用具と
併せて使用してください。
5.深刻な症状を起こす起立失調 (サスペンショントラウマ等とも呼ばれます) は、 ハー
ネスの適切なデザイン、 迅速な救助、 宙吊り状態での荷重を分散する用具により抑制
することができます。 作業員に意識がある場合、 宙吊り状態での荷重を分散する用具
を使用することにより、 脚にかかっている圧力を開放し、 血流を良くすることで、 起立
失調の発症を遅らせることができます。 アタッチメントポイントを延長するためのラン
ヤード (D リングエクステンション) は、 支点や支点に取り付けられたコネクターに直
接連結するためのものではありません。 墜落時の最大衝撃荷重を 1800 ポンド (8 kN)
以下に抑えるために、 エネルギーアブソーバーを使用する必要があります。 D リング
エクステンションの長さは、 墜落距離およびクリアランスの計算に影響します。
6.墜落時にフルボディハーネスを含むフォールアレストシステムを構成する用具が伸
び、 変形することにより、 墜落停止時のシステム全体の伸長が大きくなります。 フォー
ルアレストシステムにおいて必要なクリアランスを計算するためには、 フルボディハ
ーネス自体の伸び、 コネクターの長さ、 ハーネス装着時の身体の位置やその他の要素
により、 落下距離が長くなることを考慮する必要があります。
7.フルボディハーネスのアタッチメントポイントに連結されたランヤードのアームは、
適任者およびメーカーによって認められていない限り、 その他のアタッチメントポイ
ント等、 フルボディハーネスを構成するパーツにクリップしてはいけません。 これは、 Y
字型ランヤードを使用する際に特に重要です。 使用していない側のアームの先端を、
ハーネスのその他のアタッチメントポイント等にクリップした状態で墜落した場合、
エネルギーアブソーバーの伸長が妨げられ、 許容の範囲を超える衝撃荷重がユーザ
ーに加わる危険があります。 使用していないアームの先端をクリップしておくための
専用ループは、 つまづいたり、 絡まったりする危険を抑えるため、 通常胸部の位置に
取り付けられています。
8.ストラップの先端が余っていると、 機械類に巻き込まれたり、 偶発的に調節バックル
が外れたりする危険があります。 全てのフルボディハーネスは、 ストラップの余った先
端を収納するためのリテイナー等を備えている必要があります。
9.柔軟性のあるループ状のアタッチメントポイントは、 その性質上、 柔軟性のあるル
ープもしくはカラビナと連結することを推奨します。 メーカーによってその使用が認め
られていない限り、 スナップフックは使用すべきでありません。
このフルボディハーネスの各アタッチメン トポイントの位置および
使用に関する補足情報については、 10-16 に記載されています。
10.背部
使用用途によって他のアタッチメントポイントの使用が認められている場合を除き、
フォールアレストにおいては、 基本的に背部アタッチメントポイントを使用してくださ
い。 背部アタッチメントポイントは、 レストレインやレスキューでも使用できます。 墜落
時に背部アタッチメントポイントによって吊り下がった場合、 フルボディハーネスのデ
ザインにより、 荷重はユーザーを支えているショルダーストラップおよび大腿部周辺
に分散されます。 墜落後、 背部アタッチメントポイントにより吊り下がっている場合、 ユ
ーザーの上体はわずかな前傾姿勢を保ち、 胸部の下が若干圧迫されます。 スライド式
もしくは固定式の背部アタッチメントポイントのいずれかを選択するかについては、
検討を要します。 スライド式背部アタッチメントポイントは、 通常ユーザーの体形に合
わせた位置調節が容易で、 また墜落後に身体をより真っ直ぐな状態に保ちますが、 フ
ルボディハーネスの伸びは増加します。
11.胸部
背部アタッチメントポイントの使用が適任者により不適切と判断された場合や、 必ず
足から墜落することが想定される場合、 胸部アタッチメントポイントをフォールアレス
トの目的で使用することができます。 胸部アタッチメントポイントの実用的な使用は、
次のものを含みますが、 これらに限定されません: スライド式や自動巻取り式フォール
アレスターを使用しての梯子の登下降、 ワークポジショニングおよびロープアクセス。
胸部アタッチメントポイントは、 レストレインやレスキューでも使用できます。
墜落時に胸部アタッチメントポイントによって吊り下がった場合、 フルボディハーネ
スのデザインにより、 荷重はユーザーを支えているショルダーストラップおよび大腿
部周辺に分散されます。
墜落後、 胸部アタッチメントポイントにより吊り下がった場合、 ユーザーの身体はおお
よそ座ったような姿勢となり、 大腿部、 臀部、 背中の下部に荷重がかかります。
胸部アタッチメントポイントをワークポジショニングに使用する場合、 ユーザーの身
体はおおよそ上体が起きた状態となります。
胸部アタッチメントポイントをフォールアレストの目的で使用する場合、 適任者は使
用方法の評価を行い、 必ず足から墜落するように対策をとる必要があります。 許容落
下距離を抑えるための対策も必要です。 胸部アタッチメントポイントが調節型チェス
トストラップに取り付けられている場合、 墜落の際や吊られた際にチェストストラップ
が上部にスライドし、 ユーザーの首が締めつけられる可能性があります。 このような状
況が想定される場合、 適任者は固定式の胸部アタッチメントポイントを採用したフル
ボディハーネスの選択を検討する必要があります。
12.腹部
腹部アタッチメントポイントは、 必ず足から墜落することが想定される場合にスライド
式フォールアレスターと連結して梯子の登下降に使用したり、 ワークポジショニングの
目的で使用したりすることができます。 腹部アタッチメントポイントを使用した場合、
墜落後やワークポジショニングの際、 ユーザーは上半身が起きて座った姿勢となり、
大腿部と臀部に荷重がかかります。 腹部アタッチメントポイントによって吊り下がった
場合、 フルボディハーネスのデザインにより、 荷重は大腿部周辺にかかります。 また、
骨盤周辺のストラップにより、 臀部にも分散されます。
腹部アタッチメントポイントをフォールアレストの目的で使用する場合、 適任者は使
用方法の評価を行い、 必ず足から墜落するように対策をとる必要があります。 許容落
下距離を抑えるための対策も必要です。
13.シ ョルダース トラップ
ショルダーアタッチメントポイントは、 2つのポイントを合わせて使用する必要があり
ます。 レスキュー、 下降、 吊り上げ用のアタッチメントポイントとして使用可能です。 シ
ョルダーアタッチメントポイントは、 フォールアレストの目的では使用できません。 シ
ョルダーアタッチメントポイントから吊り下がる場合、 左右のショルダーストラップの
間隔を維持するために、 スプレッダーを併用することを推奨します。
14.腰部および後部
腰部および後部アタッチメントポイントは、 レストレインの目的でのみ使用できます。
腰部および後部アタッチメントポイントは、 フォールアレストの目的では使用できま
せん。 どのような状況においても、 腰部および後部アタッチメントポイントをレストレ
イン以外の用途に使用できません。 腰部および後部アタッチメントポイントは、 ユー
ザーのウェストから受ける小さな荷重にのみ対応します。 ユーザーの全体重を支え
る使用はできません。
15.臀部
臀部アタッチメントポイントは、 ワークポジショニング専用で、 2つのポイントを合わ
せて使用する必要があります。 臀部アタッチメントポイントは、 フォールアレストの目
的では使用できません。 臀部アタッチメントポイントは、 ツリーケア、 電設工事、 型枠 ・
鉄筋工事等におけるワークポジショニングの目的で多く使用されます。 使用していな
いフォールアレスト用ランヤードのアームの先端を、 臀部アタッチメントポイントに
クリップすることについては注意が必要です (その他のアタッチメントポイントにつ
いても同様)。 つまづく危険や、 Y 字型のランヤードの場合には、 墜落の際にエネルギ
ーアブソーバーの伸長が妨げられ、 許容の範囲を超える衝撃荷重がユーザーに加わ
る危険があります。
16.作業用シート
作業用シートを取り付けるためのアタッチメントポイントは、 ワークポジショニング専
用で、 2つのポイントを合わせて使用する必要があります。 作業用シートを取り付ける
ためのアタッチメントポイントは、 墜落を止める目的では使用できません。 作業用シー
トを取り付けるためのアタッチメントポイントは、 2つのポイントに作業用シートを連
結し、 ユーザーが座ることができるため、 吊り下がった状態で長時間作業する場合に
多く使用されます。 例として、 ビルの窓ガラス清掃作業での使用が挙げられます。
ユーザーによる用具の点検、 メンテナンスおよび保管
個人用フォールアレストシステムを使用するユーザーは、 用具の点検、 メンテナンスお
よび保管について、 少なく ともメーカーの取扱説明書に定められた要求事項を守る
必要があります。 ユーザーが所属する組織は、 メーカーの取扱説明書を保管し、 全て
のユーザーがいつでも参照できるようにしなく てはなりません。 墜落防止計画の管理
に関する最低要件を定める ANSI/ASSE Z359.2 規格における、 ユーザーによる用具の
点検、 メンテナンスおよび保管に関する内容をご参照ください。
1.メーカーの取扱説明書に定められた点検についての要求事項に加え、 毎回使用前
にユーザーによる用具の点検が必要です。 またユーザー以外の適任者により、 一年以
内の間隔で次の項目の点検が必要です:
- マーキングが欠落したり、 判読不能になっていないこと
- 用具の形状、 装着感や機能に影響を与えるパーツの欠損がないこと
- 金属部分の欠陥や損傷を示す形跡、 亀裂、 鋭利な角、 変形、 腐食、 化学薬品による損
傷、 過度な加熱、 変更またはまたは過度の修正
- ストラップやロープに欠陥や損傷を示す形跡 (すり切れ、 アイスプライスのほどけ、
ほつれ、 キンク、 ノッ ト、 ねじれ、 破損または引き延ばされた編み目、 過度の伸び、 汚れ
や摩耗、 化学物質による損傷、 変質、 過度の潤滑または不足、 経年劣化) がないこと
2.ユーザーが所属する組織は、 用具の点検基準を定める必要があります。 この点検基
準は、 ANSI 規格もしくはメーカーの定める要求事項と同等、 もしくはそれ以上に厳格
である必要があります。
3.点検によって用具の欠陥、 損傷、 メンテナンスの不足が見つかった場合、 その用具は
廃棄するか、 再使用する前に用具のメーカーや代理者により適切なメンテナンスが
行われる必要があります。
メンテナンスおよび保管
1.用具のメンテナンスおよび保管は、 ユーザーが所属する組織によりメーカーの取扱
説明書に従って行われなければなりません。 使用状況によって生じる個別の問題につ
いては、 メーカーに問い合わせてください。
2.メンテナンスが必要もしくは予定されている用具については、 「 使用不可」 と表示し
た上で隔離する必要があります。
3.周囲の環境 (例: 気温、 光、 紫外線、 湿気、 油、 化学物質およびその蒸気等) から損傷
を受けないように用具を保管しなければなりません。
C0095800D (020420)
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