1. 何にでも寿命があります――バイクもまたしかり
耐用年数を過ぎたバイクとコンポーネントを使い続けるのは危険です。
すべてのバイクとそのコンポーネントは、寿命が限られています。耐用年数
は、フレームとコンポーネントの造りや使用している素材によって異なります。ま
た、フレームとコンポーネントのメンテナンスと手入れの頻度や質、ライディング
スタイルや走行距離も関係します。競技会、トリックライディング、ランプ(ジャ
ンプ台)でのライディング、ジャンプ、過激ななライディング、難しい路面や荒天
時のライディング、重い荷物を載せてのライディング、商業活動などの一般的では
ない使用は、フレームとコンポーネントの寿命を大幅に縮める場合があります。こ
れらの条件のどれか1つ、あるいは複数が組み合わさると、予想外の故障に至る可
能性があります。
使用面の要素がすべて同じとすれば、軽いバイクとコンポーネントのほうが重
いバイクとコンポーネントよりも一般的に寿命は短くなります。軽量のバイクまた
はコンポーネントを選ぶというのは、軽量であるがゆえの性能の高さを寿命より
も優先させることを意味します。したがって、軽量で高性能なバイクを選んだ場合
は、頻繁に点検する必要があります。
亀裂、変形、腐食、塗装の剥げ、へこみなど、バイクとそのコンポーネントに
かかる応力や潜在的な不具合の兆候などの潜在的な問題点、不適切な使用や乱用の
兆候が見られるかどうか、販売店で定期的に点検を受けてください。
2. 概要
現代の高性能バイクには、綿密な点検と保守作業を頻繁に行うことが必要で
す。この付録では、基本的な素材科学の基礎知識、素材とバイクの関係を取り上げ
ます。バイクを設計する際のトレードオフ、個々のバイクに期待できる性能を説明
し、バイクのメンテナンスと点検に関する重要なガイドラインの基本を示します。
バイクの適切な点検とメンテナンスに必要な事柄すべてをお教えすることはできま
せん。バイクを販売店に持っていき、プロの目で見てもらうよう繰り返しお願いし
ているのはそのためです。
警告:お客様の安全のためには、バイクを頻繁に点検することが重要で
す。バイクに乗る前には必ず、このマニュアルのセクション1.Cにある機
械関連の安全点検を実施してください。
より詳しい点検を定期的に行うことも重要です。徹底した定期点検の頻度は、
個々のお客様によって異なります。
バイクを使用する頻度、酷使の度合い、使用する場所は、ライダー/所有者で
あるお客様が管理し、お客様が把握している事柄です。販売店はお客様の使用状況
を追跡することができませんので、お客様自身の責任において、販売店で定期的な
点検とメンテナンスを受けてください。点検とメンテナンスの頻度は、お客様の使
用状況と使用場所を考慮して販売店がアドバイスします。
お客様の安全、理解、販売店とのコミュニケーションのために、この付録はす
べてお読みください。点検の仕方と頻度は、お客様のバイクに使用されている素材
によって異なります。
この警告に従わない場合、フレーム、フォークなどのコンポーネントに不具合
が生じ、重傷や死亡事故につながるおそれがあります。
付録B
バイクとコンポーネントの寿命
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