(5) シングルスピードもしくは内蔵型ギアハブの場合、チェーンリングのチェー
ンを元に戻してください。ホイールをドロップアウト内に引き戻し、左右のフレー
ム間でホイールが真っすぐの状態になるようにします。また、チェーンに上下約6
㎜の遊びをもたせてください。
(6) カム作動機構の場合、カムレバーを上方へ動かし、閉位置まで回してくださ
い(図8a、8b)。閉位置にすると、レバーは、シートステーやチェーンステーと
平行になり、ホイールに向かって湾曲している状態になります。十分な締め付け力
で固定するためには、フォークブレードに指先をかけて、てこの原理を利用し、手
のひらにレバーの形がくっきりと残るほどの力で握って、レバーを閉じ位置にしま
す。
(7) スルーボルトもしくはボルト締め機構の場合は、付録Dのトルク仕様やハブ
メーカーの指示書に従って、留め具を締め付けてください。
注記:従来型のカム作動方式でレバーをシートステーやチェーンステーとの平
行位置まで押し込むことができない場合には、レバーを開位置まで戻してくだ
さい。張力調整ナットを4分の1ほど左回転させ、再度レバーを締め付けます。
警告:カム作動機構の保持装置でホイールをしっかりと固定するには、か
なりの力が必要になります。シートステーやチェーンステーに指先をかけ
て、てこの原理を利用しなくてもカムレバーを完全に閉じることができる
ようであれば、張力が不十分です。この場合、手のひらにはレバーの形が
くっきりと残らず、ドロップアウトの表面にもホイールの留め具表面のぎ
ざぎざによる跡がつきません。レバーを開位置に戻し、張力調整ナットを
4分の1ほど右回転させた後、再度、レバーが十分な力で閉じるか確認し
てください。本セクションの19ページに記載の最初の「警告」も、ご参照
ください。
(8) このセクションの3.c(2)でブレーキのクイックリリース機構を解除して
いる場合は、クイックリリース機構を再度はめ込み、ブレーキシューとリムの間隔
を正しく調整してください。
(9) ホイールを回転させて、ホイールが左右のフレームから等位置にあり、ブレ
ーキシューと接触しないことを確認してください。その後、ブレーキレバーを握っ
て、ブレーキが正しく作動していることを確認します。
バイクによっては、カム作動機構のシートポストクランプが付いたものがありま
す。このタイプのクランプの仕組みは、従来型のホイール用カム作動式の留め具(
セクション4.A.2)と同じです。一端にレバー、他端にナットが付いた長ボルトの
ような形をしているカム作動機構クランプには、シートポストをしっかりと固定す
るためのオーバーセンター型カム作動機構が採用されています(図8aを参照)。
警告:シートポストが正しく締め付けられていない状態でバイクに乗った
場合、サドルが回転したり、移動してしまう可能性があり、コントロール
を失って転倒するおそれがあります。このような事態を避けるために、以
下の事項を守ってください。
1. シートポストの正しい固定方法について、お買い上げの販売店から教わり、
理解してください。
2. シートポストを固定するための正しいテクニックを理解し、実施してくださ
い。
B.カム作動機構のシートポストクランプ
23